猫と太陽 縁側に腰掛けて、ぼんやりと空を見上げていた。 後ろからそっと近づいて、その腕に手を伸ばす。 気づいて振り向こうとするところを引っぱって懐に招き入れ、そのまま口づけを交わす。 嫌がりもせず、沖田はされるがままでいた。ただじっと至近距離で興味深そうに土方を見つめている。 「……お前さ、何で目ぇ閉じねぇの」 唇を離し、しかしまだ懐からは離さないまま土方は尋ねる。ずっとここにいたせいか沖田の体はいつもよりぽかぽかしていて、日向に干された洗濯物のようだった。 「だって土方さんがああいう顔すんのキスしてるときだけだもん。目ェ瞑っちまったら勿体ねーや」 「ってどんな顔だよ」 言われて沖田は少し考えていたが、程なくしてこう言った。 「あれだ。日向ぼっこしてる猫。土方さんキスしてるときね、こう気持ちよさそーに少し目ェ細めんの。ヤってるときだってあんな顔しねーよ」 キスするとき絶対目を閉じないことにはずいぶん前から気づいていたが、こんなことを考えていたとは知らなかった。そんなことを考えながら見られていたのかと思うとなんだかとても気恥ずかしい。 「……ちなみにヤってるときはどんな顔よ」 「サカってる犬。つーかケダモノ」 あっけらかんと答える沖田にたぶん悪気はないのだろうが、そういう印象を与えてしまう自分に対して少々自己嫌悪を覚える。しかもそう思われていても否定できないところが更に落ち込む。 「ね、もっかい」 土方の考えなど露ほども気づかず、沖田はその襟元を引っぱって甘ったるい声でせがむ。 土方は懐に抱きしめたままの沖田の頭に軽く手をやり、もう一度唇を重ねた。今度はさっきよりも深く。 相変わらず沖田は目を開けていて、もちろんそれを知っている土方も目を開けていて、キスしている間中ずっと見つめあっている。 (……お前だって俺と同じ顔してんじゃねぇか) でももしそれを言ってしまえば次からしかめつらでもされそうなので、このことは言ってやらない。 あれ、なんかものすごく短い。書くときはメモ帳に書いていたので気づかなかったんですがこうしてみるとすごく短いことに気づいた。でも自分としては割と気に入っていたり。 05/10/12 |