拍手小ネタ 16〜20 16.遅く起きた朝は(土沖 3z) せっかくのバイトの入っていない日曜日だったので、昼までずっと寝ていたいと思っていた。 それなのになぜか沖田に叩き起こされた。文字通り殴られて。 「ひっでぇ土方さんなんでこんな時間まで寝てんだよ!」 「は? いやだって俺今日バイト休みだし」 「俺は今日山崎と遊ぶ約束してたんですぜ。早起きした土方さんの物音で起きようと思ってたのに!」 「……それ、俺が怒られる理由に値しないと思うぞ?」 なぜなら沖田は土方が知る限り9時前に自力で起きてきた例がない。それに土方が何時に起きようと土方の勝手である。唯一土方に罪があると言えるのは沖田を自分の部屋に泊めたことくらいのものだ。 「ああもう土方さんのせいで40分も遅刻でさァ」 時刻は現在10時半過ぎ。沖田は大慌てで布団から飛び出して、クローゼットを引き開けた。沖田は泊まって行くことが多いので土方の服と一緒に沖田の服も一部しまってあるのだ。 「あ、やべ。どうしよう土方さん」 沖田を送り出したら寝なおそうと思って布団の中で白い背中を眺めていた土方に、振り返った沖田は表情を曇らせた。 「パンツがないんでさァ」 心底困った様子で言われて何事かと思いきや。 「……は?」 「昨日洗濯し忘れた」 嵩張るし洗濯すればいいことなので沖田は下着を含めて予備の服を1セットしか土方の部屋に置いていない。しかし今日は二泊目でしかも洗濯を忘れたので新しい下着がないらしい。 「もう一度履けばいいだろ」 急いでいるようなので一番手っ取り早い方法を提案してやったまでなのだが、沖田は露骨に嫌そうな顔をした。ついでに土方への非難の色も少々混じっている。 「あんたのせいで二着ともとても履いていける状態じゃないんですけどねェ?」 「……すまん。つーかじゃあ俺の履いてけば」 「絶対やでさァ」 きちんと洗濯しているし一応恋人関係でもあるというのに、なんなんだこの嫌がり様は。変なところで潔癖だとは思っていたが、こうまではっきり拒否されると結構傷つく。 「わかったよ俺がコンビニで買って来てやるから。ボクサーでいいんだよな?」 「じゃあついでに山崎に詫びとしてうまそうなお菓子300円くらいの買って来てくだせェ」 「お前が食いたいだけだろそれは」 しかもまず間違いなく土方に払わせる気だ。なぜ沖田の寝坊の謝罪を土方がしなければいけないのか。 昼まで寝ていたかったのに沖田のせいで起きる羽目になり、土方は小さな溜息を吐いて布団からのそのそと起き上がった。沖田のいるクローゼットのところまで行って手近な服を引っ張り出す。 「とにかく、お前はシャワーでも浴びて時間潰しとけ。出たらバスローブでも羽織って待ってろ。俺の目に毒だ」 「上だけ着てるとかそういうの好きな人ですかィ。あ、それとも靴下だけ派?」 「言ってろアホ」 下らないことを言う沖田にバスローブを投げつけて、土方は足元に落ちていた上着を羽織った。ポケットの中の財布の存在を確認する。 「すぐ戻るけど誰か来ても開けるなよ。つーかその格好でうろつくなカーテン開けるなもったいねぇ」 「そんなこと思うのはきっと土方さんだけですぜ。いいからとっとと行ってきなせェ」 自分は土方の帰り待ちということで土方のかわりにベッドでごろごろし始めた沖田に見送られ、土方は沖田の下着を買いに出かけた。 あれだけ言っておいたのに、外からマンションを振り返ればカーテンの隙間からバスローブ姿の沖田が手を振っていたのが見えた。 17.いろいろ間違っています(土銀沖 下ネタ注意) 沖田が浮気性の土方への当てつけに万事屋に遊びに来た。 「旦那ー、一発ヤってくだせェ」 「帰れめんどい」 「お金ならたんまりと」 「あがって今お茶入れるから」 「お邪魔しやーっす」 どうせ今日は新八と神楽が出払っていることも調べた上での来訪なのだろう。沖田は勝手知ったる我が家のように上がりこみ、ソファにごろごろ寝転がった。今日はそこがいいらしい。布団でヤりたがらないところは普段どういう習慣が染み付いているのかがよく窺える。 それはさておき子供相手は趣味じゃないし無駄に土方を煽る必要もないのではっきり言って面倒だから適当に追い返してしまいたいところなのだが、金を持っているとなると話は別だ。悲しいかな、生きていくには汚れた金も必要なのだ。 そんなわけで依頼人のご要望どおりヤることになり、どうせなら隊服じゃなくて脱がせやすいものを着てきてくれればいいのにと思いつつスカーフを外してさっそく襟元を緩めた。沖田は慣れた仕草でその手を取って軽い口付けを落としてくる。誘うように口に含んで入れたり出したり。変なとこ器用で沖田を抱くたびに調教師の腕に感心してしまう。 「そういえば旦那って、昔土方さんと付き合ってましたよねェ」 「付き合ってたっつーか暇なときヤってただけだけどね」 「セフレですかィ」 最近の子供は物知りなことで。それとも教育係が優秀すぎるのか。というかそもそも教育係に食われちゃっているのか。 「で、それがどうしたの」 あわよくば会話で時間潰して帰ってくれないかと密かに期待していたり。 自分からあれこれやって相手をよくさせるのは面倒だから嫌いである。だからいつも男相手のときは受けにまわるのだが、今回は依頼人がそちらをご所望なので仕方ない。 「そのときは下だったんだろィ」 「うん」 そっちのが楽だし。 「なんか変なのー」 何がおもしろいのかわからないが、沖田は子供のようにあどけない仕草で笑った。 しかしよくよく考えてみると、確かに奇妙かもしれない。 土方とヤるときは下で、いつも土方の下にいるこの子供とヤるときは上。つまり土方と沖田の間にいるのが自分なのだ。ようするに上に土方、下に沖田ということで、結構悪くないかもしれない。 「どうしたんですかィ旦那、ぶつぶつ言って」 「いや、真ん中ってのも楽しそうかなと」 「は?」 銀時の答えに沖田は意味がわからなかったのか訝しげな視線を寄越してきた。肌蹴られた薄い胸板を見下ろし、銀時は冷静になって考えてみる。 「二人も上に乗ったら潰れちゃいそうだねぇ。やっぱり重なるなら横に、しかしこれだと圧迫感を楽しむことが……いや待てよ閉所ならどうだ」 「旦那? 一人で何の話してるんですかィ??」 ますますわけがわからないといった顔の沖田を無視して銀時は更に考える。放置プレイを食らわされた沖田は目をぱちくりさせるばかりで、まさか銀時が3Pについて考察しているなどとは思いもよらなかっただろう。 「総悟君ちょっと相談があるから多串君呼んでおいで」 「へ、なんで? ってぇか旦那、俺がここに何しに来たか覚えてますかィ」 「いいから呼んでおいで。きっと君もこっちのが刺激的で楽しいから」 人間いくつになっても知的好奇心を捨て去ってはいけない。そういうわけで早速試してみるべく銀時はさっさと沖田の服を着せて送り出してやるのだった。 18.外でやればいいのにね(土銀 エロ注意) 「ちょっと待って早すぎだよ入んないってこれじゃ流血プレイだから」 腰を抱え込んで突っ込む気満々の土方の顔面を、銀時はばこっと殴った。いい音がして拳が顔にめり込んだ時にはもう遅く、痛かったかなと思ったらやはり痛かったらしい。 「てめ……殴んなよ」 「いやだってサカってる多串君はこうでもしないと止まらないじゃん」 「じゃあ止めんな。流血プレイ上等だコラ」 殴られてもあきらめる気はないらしく、尚もやめる気のない土方の頭を銀時はもう一度殴った。今度は木刀で。さすがに落ちたかと思ったが性欲の魔獣と化した土方はよほどしぶといのか、それでも何とか起き上がった。 「流血プレイの何が不満なんだよ畜生」 「駄目だって布団洗濯すんの新八だから血塗れじゃ怪しまれるだろ」 「他のもので汚れすぎてて手遅れだろ」 言われて布団を見てみれば、なるほど確かにそのとおり。既によろしくないもので汚れすぎていて怪しまれるどころかドンピシャリで何をしていたのか言い当てられてしまうに違いない。 「おいどうすんだこれ。多串君責任とってよ」 「お前が洗えよ」 「普段しないことをしている人を見ると何かあったと勘ぐるのが人情じゃね?」 「人情か? どうでもいいけどとっとと入れさせろ。つーかイけ」 「終わったら自分は何食わぬ顔で帰る気だろ。そうはさせねーぞ」 いつものように睨み合い、どちらも一歩も譲らない。こんな問答が5分くらい続き、ついに土方のほうが折れた。 「わかったよ俺がどうにかすればいいんだろ」 自慢じゃないが、床でだけなら土方に負けたことは一度もない。 今回も銀時の勝利だった。 天気がいいので布団でも干そうと思い、新八はおかしなことに気づいた。 「あれ、銀さんこの布団新しくないですか?」 「ああ、新しいぜ」 「どうしたんですかいつもお金ないのに」 「うん。多串君が買ってくれた」 「……なんで?」 「布団干すなら早めに干さねぇと夕方から雨らしいよ」 明後日の方向を見て話題を逸らそうと試みる銀時。新八はまだ首を傾げていたが、追求すると知りたくもないことを知ってしまうことになりそうな気がするのでこれ以上考えないようにした。 雨が降るらしいというのは事実なので布団を干すことに専念する。 「ただいまー! 銀ちゃんそこでまだ使えそうな布団拾ったヨ。でもこれなんか臭いネ」 「あぁぁぁぁ! 馬鹿神楽捨てて来い元あった場所に戻してきなさい汚いからばっちいから!」 銀時の焦り方とほのかに鼻を突く臭いからなんとなく新しい布団の理由を確信してしまった気がしたが、新八は何も考えず記憶から抹消してしまうことに決めた。汚れた大人の世界なんか知りたくない。 19.スイートトラップ(土沖) 3月14日、ホワイトデー。土方の知る限り今日はまだどこにも出かけていないはずなのに、なぜか沖田は両手一杯にお菓子を抱えて口には板チョコをくわえていた。バレンタインにいろいろもらっておきながらホワイトデーにももらえるのだからわけがわからない。 「どうしたんだよそのお菓子」 「隊士たちがくれたんでさァ」 どうやら山崎を代表とする沖田の熱烈なファンどもの仕業らしい。バレンタイン同様ホワイトデーも沖田に貢ぐいい口実だと思っているのだろう。まったく物好きな。 「知らない人からもらってくるんじゃねぇっていつも言ってんだろ」 「隊士たちは知ってる人ですぜ」 珍しく的を射ている。確かに隊士たちなら得体が知れているので毒殺されたり誘拐されたりする心配はない。しかしなんだろう。このおもしろくない気持ちは。 「嫌だな、なーに目尻にしわ寄せてんですかィ」 土方の眉間を少し背伸びして指で突付き、沖田はニヤニヤ笑いを浮かべた。 「隊士たちに一番隊隊長ともあろう者が物でつれるなんて思われたら仕事に差支えが出る。今後一切受け取るな」 「土方さんだって山崎にお茶入れてもらってるじゃん」 「それとこれとじゃ全然違ぇだろ。ってそうじゃなくて」 のらりくらりとかわして聞く耳持ちやしない沖田の腕を捕まえる。その拍子にお菓子がいくつかぼとぼとと足元に転がった。 「俺が嫌なんだよ。んなものいくらでも俺が買ってやるから、他の奴からもらうんじゃねぇ」 意を決して言ったのに、沖田は少しも顔色を変えなかった。腕をつかまれたま板チョコをくわえて挑戦的な目で土方を見上げている。 掴まれていないほうの手で板チョコを口から取って、沖田はにやりと笑って言った。 「やでさァ。土方さんも隊士たちもくれるならみんなもらいやす」 言った後で、口の中で溶けかけた板チョコをぺろりと舐める。 土方が何か言う前に沖田は言葉を続けた。 「でもあんたがくれるものは一番おいしいと思ってますぜ?」 言いながら背伸びをして、土方の頬もチョコと同じようにぺろりと舐めた。離れていった後も暖かい感触が頬にはっきりと残っている。 それから沖田は落としたお菓子を拾い忘れたまま、板チョコをくわえて廊下の向こうへ消えてしまった。 そこに入れ替わるように山崎がやって来て、土方の顔を見てぎょっとする。 「ど、どうしたんですか副長……?」 「は?」 書類片手に山崎は土方の頬を指差している。言われて手で触ってみると、べとりと何かが指についた。 よく見なくてもそれは紛れもなくチョコレートである。さっき沖田が舐めたときにつけたものだろう。 「……やりやがったな、あの馬鹿」 はじめからこれが狙いだったのだろうか。しかしこれは怒るべきところなのかいまいち判断がつかず、とりあえず指についたチョコを自分も舐めてみた。チョコはとても甘くて、沖田の口の中と同じ味がした。 20.手袋の罠(土+沖) 突入準備完了。土方と沖田の二人は扉の両脇に立って息を呑んだ。 「相手は強敵だ。手は抜くなよ」 これは出かける前に土方が沖田に言った言葉である。 今回は精鋭二人だけの特別任務だった。相手は悔しいが土方より手ごわい。結果は沖田の活躍にかかっていると言っても過言ではなかった。 目と目で合図をかわし、すらりと刀を鞘から抜き放つ。その後は土方が扉を蹴破り、二人で突入という手はずになっている。 しかしいつまで立っても沖田は刀を抜かなかった。気になってちらりとそちらを見てみれば、驚愕の表情で自分の両手を見下ろしている。 これからというときに、まさか何かあったのだろうか。 土方は嫌な予感を胸に小声で沖田の名を呼んだ。沖田は土方のほうを見て、同じように風に紛れるくらいの小声で返してきた。 「土方さんどうしよう、俺、今日寒いからもこもこ手袋してきちまいやした。こんなんじゃ刀握れねぇし指がわかれてないやつだから銃の引き金も引けねぇや」 「脱げばいいだろアホォォォ!」 突入前だということも忘れて土方は全力でつっこんだ。蹴飛ばそうとして避けられた。 「何言ってんだィ土方さん。こんな寒い日に脱いだら凍死しちまいますぜ」 「俺はお前の馬鹿さ加減にショック死しちまいそうだよ! つか100%俺への嫌がらせだろ!」 「実はそうなんです」 「正直に告白してんじゃねェェェ!」 もうこの頃には突入の成功より両者とも手袋の有無に頭がいっている。ついさっきまであれほど気配を気取られないよう気を使っていたというのに、今では脱げ脱がねぇの大騒ぎである。 「あれ、どうしたのお二人さん。いやいや言っとくけど俺酔った勢いで電柱叩き折ったりしてないからね。神楽もしてないから。新八の眼鏡はビームとか出そうに見えるかもしれないけどできないから。ん、何言ってんだ俺。いやとにかく叩き折ってないよ? 折ってないからね?」 標的だったはずの銀時が玄関戸を開けてみればなぜか朝から脱ぐとか脱がないとか卑猥なことを口走って揉み合っている公務員の姿があった。近所迷惑なので通報したのは言うまでもない。 色物ばかりです。なぜか土銀が混ざっています。そして3P……(笑)。 06/09/21 |